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ブログ|埼玉県春日部市の内科・呼吸器内科・アレルギー科|ますだ春日部クリニック|土日診療

気管支喘息の診断と治療

 

気管支喘息は、10-20人に1人と多い病気です。主な治療は、吸入治療です。小児は乳児期に、成人喘息は中高年に発症(初発)が多いです。

 

症状:症状を繰り返すことが重要です。

①喘鳴(ヒューヒュー、ゼーゼー)を伴う呼吸困難

気管支が狭くなることで、笛のような音が認められます。

 

②咳(特に夜間や早朝)、痰

 

③その他の所見

アトピー性皮膚炎、副鼻腔炎(蓄膿症)や鼻炎の合併を評価します。重症喘息には、好酸球性多発血管炎肉芽腫症やアレルギー性肺真菌症などが隠れている場合があり治療法も異なることから注意が必要です。

 

【用語】

好酸球性多発血管炎肉芽腫症:先行症状として気管支炎喘息やアレルギー性鼻炎を発症する。末梢血好酸球増多による血管炎から、神経炎、皮膚病変、消化管潰瘍、脳梗塞・脳出血・心筋梗塞などを呈する病気です。

アレルギー性肺真菌症:カビ(真菌)によるアレルギー反応です。胸部レントゲンで陰影を伴うことが多いです。

 

原因や悪化要因:アレルギー性と非アレルギー性があります。

①アレルギー性(アトピー型):ダニ、ハウスダスト、花粉、ペット、カビ、食品

アトピー型は、上記のアレルゲンなるアレルギーの原因となる物質に対する特異的IgE抗体が存在するものです。ヒョウヒダニの頻度が高いです。

 

②非アレルギー性(非アトピー型):喫煙、薬剤(解熱鎮痛剤)、風邪など気道感染症、大気汚染、運動や過労、食品、気象

 

尚、遺伝的素因もあり、両親が喘息の時は喘息発症の頻度は3倍以上となります。

 

【用語】

特異IgE抗体:一般に採血によるアレルギー検査で評価される項目です。スギ、ヒノキ、ダニや食物や犬猫など項目は多岐にわたります。

 

診断方法と検査

①問診

早朝や夜間に咳が強く、喘鳴を伴こと、それら症状が、気管支拡張剤で一時的に改善することが特徴です。また、薬物(アスピリン喘息)や運動後に悪化しないか、ペット、食物や職業(粉塵)など暴露を確認することも重要です。

 

②呼吸機能検査(息を吐きだす検査)

一気に息を吐きだす検査です。肺活量や気管支の狭窄の程度を評価する検査です。試験前に、喘息治療を中止し、検査することで評価が可能となります。治療導入後に改善することを確認することも重要です。

 

③胸部レントゲン検査

他の肺疾患と見分けるときに施行します。胸部CT検査も考慮されます。

 

④採血

血中好酸球濃度、特異的IgEやIL-5抗体やMPO-ANCAを行います。アレルギーの原因を調べる重要な検査です。特殊な喘息を評価するときや、重症喘息の治療法の決定や、内服薬の副作用などを評価します。

 

⑤痰検査

痰の細胞を調べ、好酸球を評価します。好酸球性気道炎症の指標になります。

 

⑥呼気一酸化窒素検査

 

⑦(モストグラフ)

 

治療

①ステロイド吸入、気管支拡張剤吸入、時に抗コリン剤の吸入

 

②気管支拡張剤の内服、抗アレルギー内服治療

 

③アレルギーの原因の排除、ストレスや過労を避けるなど日常生活の改善

 

④ステロイド内服

吸入治療の効果が低いときに行う治療です。しかしながら、糖尿病、高脂血症、むくみ、緑内障や白内障、大腿骨の壊死、骨粗しょう症、感染症など重篤な副作用が認められ、長期内服は避けたい治療です。他の治療(下記)でコントロールできるように検査をしっかり行います。

 

⑤抗IgE抗体、抗IL-5抗体

ステロイド内服は、重篤な副作用もあることから、可能であれば特殊な治療である抗IgE抗体(ゾレア)や抗IL-5抗体(ヌーカラ)で治療を行います。同治療は難治性喘息に適応があり副作用も少ないですが、問題は、高額な治療費がかかるため高額療養費治療などで自己負担額を減らします。

IL-5は、喘息の増悪要因である好酸球の増殖や活性化を引き起こします。抗IL-5抗体(ヌーカラ)は好酸球とIL-5の結合を阻害し血中や組織の好酸球数を減少させます。IgEも同様に炎症を悪化させる要因となる物質ですので、抗IgE抗体でIgEの働きを阻害し喘息を改善させます。これらは、月に数回の皮下注射を行う必要があります。

 

⑥気管支熱形成術、気管支サーモプラスティー(18歳以上)

気管支の内部を65度に温めることで気管支の筋肉が薄くなり発作が減少します。合併症もあり、入院が3回必要です。新しい治療法です。

 

まとめ

喘息は、ステロイド吸入が治療の基本となりますが、喫煙やストレスなどで悪化することが知られています。これら誘因を排除することが重要で、その誘因を探り出す方法は問診です。

 

環境改善などで症状が改善したときは、治療薬の種類や量を減らします。喘息治療は、一生同じ治療とはなりません。当院ではできる限り少ない薬剤で安定したコントロールを目指します。

 

また他の疾患と見分けることも重要で、喘息はよく感染症後の長引く咳や肺気腫【慢性閉塞性肺疾患COPD】と間違えられることが多いため、しっかり診断し治療を行うことが大切です。

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