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①病変の部位により、診断名が異なります。
上気道の感染(鼻炎、咽頭炎、扁桃炎、副鼻腔炎、喉頭炎)・・・一般的な、かぜ症候群(感冒、風邪) 抗菌剤不要です。
↓(軽症)
下気道の感染(気管支炎、細気管支炎)・・・喉よりもっと深くまで進行した状態 抗菌剤が考慮されます。
↓(中等症~重症)
肺胞(肺炎)・・・細菌性が多い(入院の可能性も) 抗菌剤を使用します。
↓(重症)
胸膜(胸膜炎)・・・肺を超えて肺の周囲に膿が貯留(入院加療が絶対) 抗菌剤を使用します。
ほとんどが上気道炎(かぜ症候群)レベルで改善しますが、深部に行くほど、下気道や肺胞(肺炎)に進行し重症化します。
一般に、肺炎まで進行するときは、症状も強く発熱も長期に及びます。当院では、4日以上の発熱では、胸部のレントゲン撮影をお勧めし肺炎の有無を確認しています。
かぜ症候群の症状は、鼻汁やくしゃみが初期に出現し、初期以降に咽頭炎、咳嗽や発熱などを併発することが多いです。多くはウイルス感染ですが、細菌の2次感染を併発するとこともあります。
②かぜ症候群の特徴と治療
ウイルスと細菌は全く異なる生物です!
1.かぜ症候群はウイルス感染がほとんど:
細菌感染は少なく、ウイルスによる感染ばかりです。
2.ウイルス感染では抗菌剤は使わない:
かぜ症候群に対する抗菌剤(抗生物質)の使用は感染症の悪化に対する予防効果は否定されています。
もともと体力がある方たちにには特に抗菌剤は必要ありません。抗菌剤を用いても重症化を予防できません。
(肺の持病を持つ方、高齢者やインフルエンザウイルス感染は除きます。)
3.ウイルス感染は治療は、安静と解熱剤の対症療法のみ: とくに元気な若者から中年者は抗菌剤はなしで良いです!
調子が悪い時には、休養が必要です。仕事、学校を休みましょう、それが治療です!治療は抗菌剤ではありません、休養です!
かぜ症候群のたびに同じような抗菌剤を何度も用いると、もともと体内に存在する細菌群(常在菌と言います)が使用された抗菌剤に負けない強さを獲得します。これが、耐性なるもので、この状態になってしまった細菌を耐性菌と言います。体内に存在する常在菌ですが、将来、免疫が低下したときや高齢者になったときに、肺炎、腸炎や尿路感染症などを重篤な感染症を引き起こすことがあります。耐性菌は、抗菌剤に抵抗性を持ち、治療しても効果が低くさらに重症化ししまいます。つまり、治療の機会を逃してしまうことになります。抗菌剤は、体力のある時分では使用を避けることが重要です。かぜ症候群は、なにもしないでも治ります。
③それでも心配なときは
細菌感染の可能性も否定できないと言われる方も実際います。細菌感染だとしても、持病などなければ、勝手に治ります。かぜ症候群レベルであれば、たとえ細菌感染だとしても問題なく改善します。
ただし、当院では、重症化リスクが高い方や深い気管支の感染を疑うときは抗菌剤を使用します。肺炎を考慮し、レントゲンを施行することも重要です。
また、マイコプラズマや溶連菌の流行期は、迅速検査をしっかり行い診断します。必要時は、抗菌剤を処方します。
ウイルス性か細菌性か、あるいは重症化リスクが高いか軽症かで抗菌剤の必要性を考えます。ただし、無用な抗菌剤投与は害でしかありませんので、注意しましょう。
体力があれば、勝手に治るかぜ症候群の話でした。
※ウイルス性の原因微生物:ライノウイルス、コロナウイルス、RSウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、コクサッキーA群、EBウイルス、単純ヘルペス、サイトメガロ、麻疹ウイルス
※細菌性、真菌性の原因微生物;A群溶血性連鎖球菌、B群溶血性連鎖球菌、肺炎球菌、ブドウ球菌、ジフテリア菌、インフルエンザ菌、緑膿菌、モラクセラ・カタラリス、百日咳、クレブシエラ、嫌気性菌、結核菌、レジオネラ菌、放線菌、ノカルジア、マイコプラズマ、クラミジア(オウム病クラミジア、クラミジア肺炎、トラコーマ)、ニューモシスチス