「長引く咳」が現れる主な病気
喘鳴と痰がともに認められる場合は、気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)が疑われます。
痰や膿性鼻汁の症状が主であれば副鼻腔炎の可能性があります。
また、胃食道逆流症(逆流性食道炎)で酸の逆流の刺激によって咳が出たり、
精神的ストレス(心因性咳嗽⦅がいそう⦆)や降圧薬などの副作用としても咳症状が認められたりすることがあります。
このほか、喘鳴がなく乾いた咳が現れる咳喘息、気温・喫煙・運動などの
誘因条件によって起こるアトピー性咳嗽、百日咳、マイコプラズマ感染なども、咳が長く続く病気として挙げられます。
副鼻腔炎・急性副鼻腔炎
ウイルスや細菌が副鼻腔に感染する病気です。かぜをひいた後に生じることが多く、かぜに続いて細菌感染が副鼻腔にもたらされて起こります。膿のような鼻汁が出て、限られた空間に膿がたまるため、頬や目の奥が痛みます。
頭痛、頭重感、発熱などを伴うこともあります。小児は大人に比べて副鼻腔炎になりやすい傾向があります。
速やかに薬物治療を開始することで、慢性副鼻腔炎に移行しないケースがほとんどです。
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)
絶えず鼻水が出る、常に鼻がつまり口で呼吸をしている、においを感じにくい、いびきをかくといった症状があります。治療は鼻内の清掃、副鼻腔の鼻処置と、抗生剤や去痰剤、抗アレルギー剤などによる薬物療法を行います。
比較的長期にマクロライド系の抗生剤の内服を行いますが、改善に乏しい場合は手術が検討されることもあります。
胃食道逆流症(逆流性食道炎)
強い酸性の胃液(胃酸)が胃の内容物とともに食道に逆流し、食道の粘膜に炎症が生じる病気です。胃酸が増え過ぎてしまったり、胃酸の逆流を防ぐ機能がうまく働かなかったりすることで起こります。胃酸がのどまで上がってきて酸っぱいと感じるようになったり、胸やけやのどがヒリヒリしたりして不快感が続きます。
喫煙、飲酒などの生活習慣や加齢、肥満、姿勢、食道裂孔ヘルニアなどが原因となります。
胃酸がのどや気管支を刺激したり、食道粘膜を通して神経を刺激したりすることで、空咳や声がれの症状を起こします。
咳喘息
長引く咳の原因として多いのが「咳喘息」です。気管支喘息特有の喘鳴はありません。
アレルギー体質の方に多くみられ、ダニやホコリなどのアレルゲンが咳発作を誘発し、
早朝や深夜、季節の変わり目などに症状が出たりすることが多いです。
治療せずに放置すると、気管支喘息に移行してしまうこともあります。
咳喘息が疑われる症状
- かぜを引いたあと、咳だけがいつまでも続く
- 8週間以上慢性的な乾いた咳が続いている